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グレープ・葡萄(ブドウ)

魁神ディオニュソス・バッカスの聖樹・葡萄


果実カテゴリーで世界におけるブドウの生産量は、1位のバナナ、2位の柑橘類に次いで第3位。

世界で大量に消費されているブドウですが、その生産量の71%がワイン生産用、27%が生食用、2%はレーズン生産用などです。

ほとんどがお酒に化ける果物は、ブドウをおいて他にありません。


酒の神様として有名なディオニュソス(ギリシャ神話)-バッカス(ローマ神話)の聖樹であり、象徴果物でもある葡萄。ディオニュソスは葡萄の栽培法やワインの作り方を地上にもたらした神としても有名です。


魁神バッカス・ディオニュソスの象徴果実、葡萄
魁神ディオニュソス-バッカスの聖樹・葡萄

ギリシャ神話におけるディオニュソスは、豊穣と葡萄酒と酩酊の神様。

ゼウス神と人間の女性セメレーの子供として誕生したとされていますが、出自は女神アテネ同様、身ごもった母が死んでしまったので、母の骸から胎児が取りだされ、ゼウス神の身体のなかで成長します。

ディオニュソスという名は、若いゼウスという意味で、そもそもゼウス=ディオスとは、ギリシャ語で「神」を意味することばです。


ディオニュソスの聖獣は豹、虎、牡の山羊、牡の牛、牡の鹿、蛇、イルカ、狐、ロバ、と幅広く、牧神・牧羊神でおなじみの半獣神・サテュロスをお供につれているディオニュソス神のアートや絵画などを目にすることも多いと思います。


聖樹は葡萄と蔦。

その他、酒杯や豊穣の角、テュルソスと呼ばれる葡萄の蔓が巻きついた、先端が松かさの杖も、ディオニュソス神のイメージに肉付けされる小道具です。

日本では、ローマ神話のバッカス(バッコス、バックス)の名前の方が有名です。飲食店や楽器、お菓子にも神の名が使われるほど、人類にとっては親近感がある神様といえます。


ディオニュソスは世界中を放浪し、自らの神性を布教して旅した神話が有名です。

子供時代は女の子として育てられたとか、両性具有的に描かれたりとか、放浪の旅のなかで人々を心酔させたり酩酊させたり狂わせたり、かと思えば人を動物やイルカに変えたり、八つ裂きにしたりされたりと、両性的、酩酊、人性と獣性の入替え、八つ裂きが印象にのこる神話となっています。


ブドウの形状は独特で、ひと房にたくさんの粒が実ります。

元はひとつであったもの、つまり神性なるものは男女(陰陽)に分離しておらず、創造をくりかえすことで分化・分離して人になり獣になり果実になる。

そう考えると、分化=統合、という御業をもっていた神としてのデュオニュソス像が見えてきますし、葡萄の房にも、その御業が反映されているのかも知れない、などと思ったりしています。


お酒はいろいろな穀物、果物、根菜から作ることができますが、葡萄のワインによって生み出された文化・産業は、米麦文化・豆文化に匹敵するものといえますし、人類史の文明を語るうえで欠かせない果物として、ずっと語り継がれていくのだろうと思います。



葡萄の歴史


葡萄の歴史は古くBC3000年頃に原産地とされるコーカサス地方、カスピ海沿岸でヨーロッパブドウの栽培があったといわれています。

メソポタミア文明、古代エジプト時代に、ワインは珍重され飲用されていたと記述が残っているので、ワイン醸造もかなり古い時代から始まっていたことがわかります。


メソポタミアは気候・土壌がブドウ栽培に適していなかったようで、交易によってワインを入手していたそうです。

古代ギリシャでは、ワインのためのブドウ栽培が大々的に行われ、ブドウ園は広く開設されました。

ギリシアからローマ帝国時代にかわったあとも、ワインの人気は高く、ブドウ栽培も帝国各地で行われるようになります。

ローマ帝国が崩壊したのち、ブドウ栽培は衰退していきますが、各地の修道院などによって生産は維持され、やがて政治が安定するとともに再び栽培は盛んになります。


地球史において、11世紀から13世紀は気候が温暖だったため、イングランドなど北方の国でもブドウ栽培が盛んになります。

現在のベルギーでも輸出用ワインを作るためのブドウ栽培がおこなわれていたそうです。

14世紀頃から気候が寒冷化し、ブドウの栽培地域は南方に集約されていきました。

その後大航海時代が始まり、世界各地にブドウ栽培は広まってゆきます。




葡萄の種からとれるグレープシードオイル
葡萄の種からとれるグレープシードオイル


種からとれる、グレープシードオイル


ワインを製造する地域で、のこった種子からグレープシードオイルが採油されます。

種子にはプロアントシアニジンという成分が含まれ、健康食品用などに抽出されているそうです。

プロアントシアニジンはポリフェノールの一種で、抗酸化作用が高いことや、腸内フローラの改善に効果があるとして研究がすすめられており、サプリメントも出回るようになってきました。


グレープシードオイルは軽くすべりのよいオイルで、肌になめらかに浸透します。リノール酸を多く含み、前出のポリフェノールに加え、ビタミンE・トコフェロールなど抗酸化作用にすぐれた成分を含みます。

無味無臭で、淡くうすい黄金色をしており使いやすいオイルです。




*当ブログで紹介している植物の一般的な性質は化粧品の効能を示したものではありません。


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